なぜ子どもと自然とアート?

「図工が好きになる子どもアート造形教室」をはじめて、絵を描くことが苦手という子と出会いました。でもその子は自分でそう思い込んでいるだけで、じつは身体が固くなっているだけでは?と思うことがありました。小さいころはのびのびとたくさん絵を描いていた子が、小学校に入って学年が進むうちに絵を描かなくなり苦手になっていく。

作品を作ることは、自分のなかにあるイメージをかたちにすることです。それは、身体を使うことで可能になるプロセスです。なら、まずは筋肉をほぐし身体を動かしてみることからはじめてみる。そうすると、のびのびと全身を使って表現していた頃の記憶がよみがえって、すーっと美しい線が描けるようになります。身体を使って表現するためには、まず身体の感覚を本来持っている状態に戻すことが大切なのではないか。そのためには、自然に触れ、五感(*)を研ぎ澄まし、自分の身体を意識することが大切なのではないか。

身体は自然そのものです。人間は自然の一部です。自然のなかに身を置くことで自らの生命力を感じることができます。生きる力は自由な発想と思考、表現する力、あたらしものを生み出す創造力に裏付けられています。

自然の美しさを感じ、日常のなかからアートを感じ取ることのできる感性を育むことで、人生に彩りが生まれ、心が豊かになり、幸福感が増します。子どもが生まれ持っているピュアな感覚=生命力を自然とアートにふれることで絶やさないこと、そして世界中の子どもたちが幸せになること、その子どもたちを見守る大人たちも幸せになること。そのための場としての「子どもと自然とアート」でありたいと考えています。

*五感 ── 視覚(見る)、聴覚(聴く)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)、触覚(皮膚で感じる)の5つの感覚のこと。